ビーム物理学分科(化学研究所先端ビームナノ科学センター)


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 2008年6月12日(木)に宇治で研究室見学会を開きます。 詳細はこちら


教授 野田  加速器棟201 (0774-38-3281) Email: noda@K*
教授 阪部 周二  加速器棟 (0774-38-3291) Email: sakabe@L*
准教授 岩下 芳久    加速器棟203 (0774-38-3282) Email: iwashita@K*
准教授 橋田 昌樹  加速器棟 (0774-38-3292) Email: hashida@L*
助教 時田 茂樹  加速器棟 (0774-38-3293) Email: tokita@L*
K*=kyticr.kuicr.kyoto-u.ac.jp, L*=laser.kuicr.kyoto-u.ac.jp

 加速器、ビーム物理グループでは主要実験装置として小型加速器 (7MeV陽子線形加速器、100MeV電子線形加速器、300MeV電子リング など)を建設整備しつつ、 最先端の加速器技術の開発とビーム物理学の研究、 さらに産業や 医学応用のための加速器の設計研究 などをおこなっています。また、我々のグループは、以下の講義を担当しています。

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 すべての物質は光のキャッチボールをしています。 レーザ物質科学グループは、その光のパワーが1T(兆)W を超える未踏の領域での物質の物理を探っています。 その光のパルス幅が100f(10兆分の1)秒の瞬時に何が起こるのか極短時間への挑戦です。 極短時間への挑戦が今までにないナノ構造も創成します。

  → レーザ物質科学グループ


加速器、ビーム物理グループ


 電子リングKSRでのSCRIT実験 

 電子蓄積リングKSRでは、理化学研究所との共同研究で 自己閉じ込め型不安定核イオン標的"SCRIT"(Self-Confining RI Ion Target)の 原理検証実験を行っています。 KSRの長い直線部にイオンビーム導入装置を配置し、 周回する電子が自ら不安定核イオンを引き寄せ捕獲することで、 飛躍的に高い効率で散乱が起こることを確認しました。 このSCRITは今後、理研RI Beam Factoryでの本格導入が予定されています。

KSRの全体図

超高強度短パルスレーザによるイオンビーム加速


 いくつかの核融合レーザ研究所において、超高強度短パルスレーザー (100TW〜1000TW)を、 小さなスポットに絞って、 固体に照射した際に、その表面に相対論的高密度プラズマが生成し、 そこから高エネルギーの電磁波、電子、陽電子、イオンビームが発生することが報告されています。

 これは、全く新しい荷電粒子ビームの加速方式となる可能性があり、我々は100TWレーザをもつ 日本原子力研究所 光量子科学研究センターのグループをはじめ、 いくつかのを研究グループと共同研究をおこない、その加速メカニズムの研究と、発生するイオンビームの測定、 そのビームの質の改善を目指して実験をおこなっています。  2006年から2007年にかけて行われた位相回転実験では、 このレーザー駆動による陽子ビームに時間的に変動する高周波電場を印加することによって、 ある特定のエネルギーに粒子を集めることに成功しました。
 この加速方式が実用化されれば、物理実験のための加速器だけでなく、医学、 産業利用のための加速器のコンパクト化につながると考えています。



ビーム発生の模式図

 S-LSRでのイオンビーム冷却実験 

(1) S-LSRの建設

 加速器中に蓄積されたしてその質を高めるという手法は、最初に反陽子ビームの捕集のために研究が始められ、 確率冷却、電子ビーム冷却、レーザ冷却などが開発されてきました。さらに高度な冷却実験を行うため、 電子ビーム冷却装置・レーザー冷却機構を備えたイオン蓄積・冷却リングS-LSRを化学研究所イオン線形加速器実験棟に建設し、 2005年10月から実験を行っています。
S-LSR全体写真
電子ビーム冷却前後の運動量広がりの変化

(2) 7MeV 陽子の電子ビーム冷却

 ビームの冷却を進めて粒子の熱運動を抑制していくと、粒子相互のクーロン反発力が熱運動を上回り、 粒子相互の位置が入れ替わらなくなった状態(Ordered State)になることが実験及びシミュレーションで示されていましたが、 価数が小さく軽い陽子ではこれまでこのOrdering現象が確認されていませんでした。S-LSRでは精密な磁場計算によって設計した電子ビーム冷却装置を用いた上で、 電子の加速電圧を安定化するなどの調整を行い、陽子のOrdering現象を世界で初めて実現しました。 今後は冷却された陽子ビームを用いた照射実験なども検討しています。

(3) 40keV 24Mg+のレーザー冷却

 ミリケルビン程度の極低温状態を実現するためには、電子ビーム冷却に比べて非常に強い冷却力を持つレーザー冷却が有効です。 S-LSRでは波長280nmの紫外レーザーを用いて、40keVの24Mg+イオンを冷却し、3.6Kまでの冷却を確認しています。 レーザー冷却の難点はレーザーの照射方向の1次元にしか作用しないことですが、ビームの振動の共鳴結合を利用して冷却力を横方向に伝播させればさらなる冷却が可能と 分子動力学シミュレーションで予測されており、現在この3次元冷却を実証するための実験を行っています。
40keV 24Mg+のレーザー冷却による進行方向温度の変化

 新しい加速構造、機構の研究及び新技術開発 

超強力永久磁石を用いた強磁場によるビームの集束、偏向
超強力永久磁石によるリニアーコライダー用最終集束レンズ
最近、永久磁石を用いて4.45Tという超伝導磁石なみ の二極磁場を発生できることが実証されました。これを使ってビーム光学系を構成することにより、 加速器や偏向磁石の小型化は言うに及ばず、アンジュレーターや四重極磁石などの高性能化が可能になります。 リニアーコライダーの最終集束においてはnm程度にビームを絞る必要があり、強い 集束力が要求されます。ここに永久磁石を用いた四極磁石を適用することを検討しています。
iPMQ
磁気飽和鉄を用いて強化した四極磁石
AES001

空胴表面に貼付けた温度計(左)で
異常温度上昇を示した(右グラフ)
場所の裏にキズがあることを
世界で初めて発見した。

高電界発生の研究
高エネルギー物理学の次期計画とされるリニアーコライダーでは極めて高い電場勾配が必要になります。 これを達成するため、超伝導加速空胴を用います。これの内面にキズやゴミなどがあると 発熱などにより極低温でしか働かない超伝導状態が破れてしまいます。 従来、空胴壁面の外側での温度分布測定等により疑いのある場所が同定されていましたが、 従来の内視鏡でその内面を観察しても何も発見されていませんでした。 当研究室ではその構造上、観測しにくかった空胴の内面を高分解能で測定することに成功し、 その場所に数百ミクロンサイズの欠陥が存在することを世界で初めて見つけました。 現在このカメラを世界中の関連する研究所で使ってもらえるように供給するための技術的詰めを行っています。 これにより、一万5千本以上必要とされる加速管の歩留まりを上げる研究が進むことが期待できます。
ILC NewLine 2008年2月21日号ILC NewLine 21 Feb. 2008
ILC通信2008年4月15日号
表皮効果の低減の研究
高周波電流は表皮効果により導体のほんの表面にしか流れません。その表皮厚さは 周波数の平方根に逆比例して浅くなるので、周波数が大きいほど電流密度が上がり、 損失が増えます。これを表皮厚さ以下の導体薄膜を重ねて電流分布を制御することにより 低減させる方法を研究しています(右図)。これにより、高周波電力の損失の低下、つまり、 省エネルギーを目指せます。
SkinEffect
DAW
DAW型加速管の全景と端板を外して最初のセルを見たところ。
Disk and Washer (DAW) Accelerating Structure
荷電粒子を短距離で加速するには高電界を高効率で安定に発生させる 加速管が必要になります。ここでは光速の半分以上の速さを持った荷電粒子をさらに加速するための加速管として、 定在波を利用するタイプのDAW型加速管を研究しています。

 中性子科学 

電磁相互作用で物質と反応する光子を物質研究に使うと、原子番号が大きいものほどよく見える性質があります。 一方、冷中性子ビームは原子番号が小さくても観察することができます(右図参照)。 従って、お互いに相補的な役割を果たすことが期待できるので、利用する機会が少ないため利用者が限られていた 冷中性子の利用促進を図るための研究をしています。また、基礎物理のテーマとして、まだ4桁程度の有効数字でしか 測られていない中性子の寿命の測定等を計画しています。
この中性子は二次粒子で、集束させることにより高輝度化されるので、下の課題にも分類できます。
Harmotome
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小型中性子源(サテライトパルス中性子源)
KEK/原研の統合計画によるJPARCでは大強度中性子ビームが利用可能になる予定です。 この施設の高度な活用を測るためには啓蒙や人材育成が欠かせません。 このためには、多少強度では劣っていても小回りの利く、各研究室に於いて 手元で利用可能な 小型の中性子源が必要と考えています。中性子自身は身のまわりの至る所にありますが、 原子核内に閉じこめられていて、単離するためには核反応を使う必要があります。 ここでは、小型化のために、p−Li反応を使うことを考えています。これに必要なpエネルギー の反応閾値はは2MeVですので、比較的小型で実現することができます。 これらの検討を進めながら、現在は最上流のイオン源の小型、高性能化の研究をすすめています。
SPulTNS

開発中の小型ECRイオン源(左下)と小型中性子源

PMSx

冷中性子集束用超強力六極磁石

冷中性子集束用超強力六極磁石
電荷を持たない中性子もスピンという磁気モーメントを持っています。 これはダイポールなので、勾配のある磁場中で力を受けます。余り大きな力ではありませんが、 エネルギーの小さい冷中性子ではこれを利用すれば、中性子ビームの集束が可能になります。 JPARCなどのパルス中性子源では、ToFを利用することにより広い波長域での 測定が一度に可能なので、中性子の有効利用が可能になります。 しかし、パルス内では集束させるべき冷中性子のエネルギーも時間とともに刻々と下がってくるので、 それに合わせて六極磁石の強度を変えてやる必要があります。 そこで、超強力永久磁石を用い、強度の変調のために二重リング構造を持った六極磁石の開発研究を行っています。 これはJPARCの繰り返し25Hzに合わせて高速に集束強度変調ができます。 フランス・グルノーブルにあるILL(Institut Laue-Langevin)のVCN(Very Cold Neutron)ポートで実験を行います。

 二次粒子ビームの高輝度化 

高輝度ミューオン源の開発とそれを用いた科学
PRISM(Phase Rotated Intense Slow Muons)
JPARCの大強度陽子ビームを活用し高輝度ミューオン源を構築する事が現実味を帯びてきました。 ここでは世界最高の輝度を持たせるため、「位相回転」や高磁場ソレノイド による「ミューオン捕獲」などの新しい方法を駆使し、毎秒1012個の強度を目指すPRISM(Phase Rotated Intense Slow Muons)プロジェクトを推進します。また、このような技術の延長として ニュートリノファクトリーへの発展も検討しています。
位相回転法とは:
初期状態で時間幅が短いがエネルギーが拡がっているビームを一定距離走行(Drift)させるとエネルギーの違いによって 到着時刻とエネルギーとの間に相関ができる。時間的に変化する加減速電場を用いてこのエネルギーを揃える。
PhaseRotation

位相回転の原理図 アニメーション


Last modified at Mon Jun 9 12:15:39 2008.
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