ビーム物理学分科(化学研究所先端ビームナノ科学センター)


准教授 岩下 芳久    加速器棟203 (0774-38-3282) Email: iwashita@K*
K*=kyticr.kuicr.kyoto-u.ac.jp

 加速器、ビーム物理グループでは主要実験装置として小型加速器 (7MeV陽子線形加速器、100MeV電子線形加速器、300MeV電子リング など)を建設整備しつつ、 最先端の加速器技術の開発とビーム物理学の研究、 さらに産業や 医学応用のための加速器の設計研究 などをおこなっています。
ILC計画 へも参加していて、超伝導加速管の性能向上の研究、 永久磁石を用いた最終集束レンズの開発研究、
また、変調型中性子磁気レンズの開発研究や、 中性子光学 また、変調型中性子磁気レンズの開発研究や、 小形中性子源 の推進など、中性子科学に関する研究も進めています。

これらに興味ある大学院生を広く歓迎します。

なお、我々のグループは、以下の講義を担当しています。


 新しい加速構造、機構の研究及び新技術開発 

超強力永久磁石を用いた強磁場によるビームの集束、偏向
超強力永久磁石によるリニアーコライダー用最終集束レンズ
最近、永久磁石を用いて4.45Tという超伝導磁石なみ の二極磁場を発生できることが実証されました。これを使ってビーム光学系を構成することにより、 加速器や偏向磁石の小型化は言うに及ばず、アンジュレーターや四重極磁石などの高性能化が可能になります。 リニアーコライダーの最終集束においてはnm程度にビームを絞る必要があり、強い 集束力が要求されます。ここに永久磁石を用いた四極磁石を適用することを検討しています。
iPMQ
磁気飽和鉄を用いて強化した四極磁石
AES001

空胴表面に貼付けた温度計(左)で
異常温度上昇を示した(右グラフ)
場所の裏にキズがあることを
世界で初めて発見した。

高電界発生の研究
高エネルギー物理学の次期計画とされるリニアーコライダーでは極めて高い電場勾配が必要になります。 これを達成するため、超伝導加速空胴を用います。これの内面にキズやゴミなどがあると 発熱などにより極低温でしか働かない超伝導状態が破れてしまいます。 従来、空胴壁面の外側での温度分布測定等により疑いのある場所が同定されていましたが、 従来の内視鏡でその内面を観察しても何も発見されていませんでした。 当研究室ではその構造上、観測しにくかった空胴の内面を高分解能で測定することに成功し、 その場所に数百ミクロンサイズの欠陥が存在することを世界で初めて見つけました。 現在このカメラを世界中の関連する研究所で使ってもらえるように供給するための技術的詰めを行っています。 これにより、一万5千本以上必要とされる加速管の歩留まりを上げる研究が進むことが期待できます。
ILC NewsLine 2008年2月21日号ILC NewsLine 21 Feb. 2008
ILC通信2008年4月15日号
表皮効果の低減の研究
高周波電流は表皮効果により導体のほんの表面にしか流れません。その表皮厚さは 周波数の平方根に逆比例して浅くなるので、周波数が大きいほど電流密度が上がり、 損失が増えます。これを表皮厚さ以下の導体薄膜を重ねて電流分布を制御することにより 低減させる方法を研究しています(右図)。これにより、高周波電力の損失の低下、つまり、 省エネルギーを目指せます。
SkinEffect
DAW
DAW型加速管の全景と端板を外して最初のセルを見たところ。
Disk and Washer (DAW) Accelerating Structure
荷電粒子を短距離で加速するには高電界を高効率で安定に発生させる 加速管が必要になります。ここでは光速の半分以上の速さを持った荷電粒子をさらに加速するための加速管として、 定在波を利用するタイプのDAW型加速管を研究しています。

 中性子科学、中性子光学 

電磁相互作用で物質と反応する光子を物質研究に使うと、原子番号が大きいものほどよく見える性質があります。 一方、冷中性子ビームは原子番号が小さくても観察することができます(右図参照)。 従って、お互いに相補的な役割を果たすことが期待できるので、利用する機会が少ないため利用者が限られていた 冷中性子の利用促進を図るための研究をしています。また、基礎物理のテーマとして、まだ4桁程度の有効数字でしか 測られていない中性子の寿命の測定中性子の電気双極子能率の測定を計画しています。
Harmotome
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小型中性子源(サテライトパルス中性子源)
KEK/原研の統合計画によるJPARCでは大強度中性子ビームが利用可能になる予定です。 この施設の高度な活用を測るためには啓蒙や人材育成が欠かせません。 このためには、多少強度では劣っていても小回りの利く、各研究室に於いて 手元で利用可能な 小型の中性子源が必要と考えています。中性子自身は身のまわりの至る所にありますが、 原子核内に閉じこめられていて、単離するためには核反応を使う必要があります。 ここでは、小型化のために、p−Li反応を使うことを考えています。これに必要なpエネルギー の反応閾値はは2MeVですので、比較的小型で実現することができます。 これらの検討を進めながら、現在は最上流のイオン源の小型、高性能化の研究をすすめています。
SPulTNS

開発中の小型ECRイオン源(左下)と小型中性子源

PMSx

超強力六極磁石による中性子ビームの集束

パルス中性子ビームを強度変調型六極レンズで
集光した時の焦点でのビーム形状 Movie:

位相があっていない時】 【位相があっている時

冷中性子集束用超強力六極磁石
電荷を持たない中性子もスピンに伴う磁気モーメントを持っています。 これはダイポールなので、勾配のある磁場中で力を受けます。余り大きな力ではありませんが、 エネルギーの小さい冷中性子ではこれを利用すれば、中性子ビームの集束が可能になります。 JPARCなどのパルス中性子源では、ToFを利用することにより広い波長域での 測定が一度に可能なので、中性子の有効利用が可能になります。 しかし、パルス内では集束させるべき冷中性子のエネルギーも時間とともに刻々と下がってくるので、 それに合わせて六極磁石の強度を変えてやる必要があります。 そこで、超強力永久磁石を用い、強度の変調のために二重リング構造を持った六極磁石の開発研究を行っています。 これはJPARCの繰り返し25Hzに合わせて高速に集束強度変調ができます。 フランス・グルノーブルにあるILL(Institut Laue-Langevin)のVCN(Very Cold Neutron)ポートで実験を行っています。
超冷中性子を用いた中性子EDMの測定
電荷を持たない中性子が電気双極子能率(EDM)を持つと時間反転対称性を破ります。 この時、CPT保存を仮定すると、CPの破れがでます。 これらのため、その上限値の測定により、統一理論など、多くの理論の検証ができます。
PMSx

Last modified at Thu May 2 15:41:44 2013.
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