高周波共振空洞のシャントインピーダンスの測定

 

1.シャントインピーダンス(Z)の定義

 シャントインピーダンスは加速空洞の性能を表す指標であり、 消費電力(=入力電力)Pと加速電圧Vの2乗との比であらわされる。

ここで、Lは加速ギャップの長さである。

 この式から、加速器のシャントインピーダンスと入力高周波電力が既知であれば、 加速電圧が求めら。ただし、実際のビームが加速されるエネルギーは、これに加えて、 Transit Time Factor, Synchronous Phaseを考慮して計算しなければならない。


2.高周波空洞における摂動


 高周波共振空洞中において、壁面がわずかに変化した場合や、 内部に小さな物質が入った場合は、これを電磁場に対する摂動として、 その影響を評価することができる。 この結果、


が得られる。ここで、右辺分子の積分は摂動体内部の体積積分であり、 分母のWは空洞全体の電磁場エネルギーである。 つまり、右辺は摂動体内部の電磁場エネルギーと空洞全体の電磁場エネルギー の比になっている。


3.ビーズプル測定法


 式(2)より、小さな金属球(摂動)をビーム軸に沿って空洞内を移動させると、 その金属球の位置での、電場の強さに応じて、 共振周波数の変化が観測されるはずである。 この変化を、下の図のような測定装置を用いて計測する。 このセットアップでは、空洞内部のビームが通る部分にナイロン線を張り、 それによって金属球を移動させている。 共振周波数が、金属球が入ったことによって変動すると、 入力高周波と空洞内の高周波の位相差が変動することを利用して、 その位相差をDBM(Double Balanced Mixer)で電圧出力に変換し、 位相差をなくすようにSGのDC−FM(周波数変調、Frequency Modulation) 入力端子に戻している。 このように偏差(ある量と目的の値との差) がゼロになるように帰還をかけた回路構成を負帰還 (Negative Feed Back)という。 ここでは位相を一致させるように帰還をかけているので、特別にPLL (Phase Locked Loop)回路という名称がついている。
これにより、帰還増幅率が十分大きい場合にSGの出力周波数が共振周波数に 一致し、共振周波数変動はDC−FM入力の電圧を測定することにより得られる。


式(2)を電場成分にのみ着目して、変形すると、

 これにより、各点での電場が求まる。 ここで、左辺は近似をおこない1次までをとっている。 また、右辺の分子に現れる3は金属球のフォームファクターである。 さらに、シャントインピーダンスを求めるには、これを積分すればよい。ただし、 消費電力Pの測定は容易ではないのでQ値を利用する。Q値の定義は、Q=ωW/P なので、これから(3)の式において、Pを消去すると、

となる。