放射線概論

 

1.放射線とは

定義 電磁波または粒子線のうち、空気を電離する能力をもつもの。

α線(ヘリウムイオン)、または人工的に作られた重陽子線、陽子線などの粒子線

β線(電子、陽電子)、または人工的に作られた高エネルギー電子線(>MeV

中性子線(核分裂物質からの自然中性子または加速器による人工中性子線)

γ線およびX線(電磁波)(>MeV

 

2.放射線の生物への影響

放射線の作用過程

1)物理効果:放射線による原子、分子の電離、励起と切断(約10-1810-15秒)

2)化学効果:遊離基(OHH2O2)などの化学活性物質の影響(約10-910-2秒)

3)生物効果:物理、化学効果が細胞内代謝によって拡大する(約100103秒)

4)最終過程:生物効果が細胞死、組織死や個体死に至る

 

3.放射線の単位

吸収線量(D):単位質量(kg)あたりの放射線の吸収エネルギー(J)。単位はグレイ。

(Gy)d/d

 線量当量(H):吸収線量に放射線の線質係数Qをかけたもの。単位はシーベルト。

(Sv)=D(Gy)QN

 この線質係数は、放射線の種類による生物への影響の違いを補正するものである。

 

4.放射線の人体への影響と許容範囲

放射線の人体への影響には、急性障害と晩発障害がある。

1)急性障害(非確率的影響)

.Sv         :リンパ球の減少

2〜6Sv       :出血、造血障害、脱毛など(半数が1ヶ月以内に死亡)

10Sv       :嘔吐、下痢など消化器障害(2週間以内に全員死亡)

100Sv   :中枢神経障害(1日以内に全員死亡)

2)晩発障害(確率的影響)

遺伝疾患        :4x10-3 /Sv  →10mSvを被爆した10万人のうち4人が発病

白血病           :2x10-3 /Sv

肺がん           :2x10-3 /Sv

甲状腺がん    :5x10-4 /Sv

 

 

5.自然放射線

自然界にはさまざまな放射線源が存在し、一般の人が1年間に受ける線量当量は約2mSvにもなる。ただし、これには、地域差(岩石成分の違いや高度の違い)が大きい。例えば、影響の大きいものを挙げると、以下のようになる。

  宇宙線               :0.mSv/Year

  40K                    :0.mSv/Year

  220Rn222Rn     :1.mSv/Yea

 

6.放射線防護

 現在の放射線被爆管理は、以下の3原則に基づいている。

1) 行為の正当化 放射線の利益が、被爆による損失を上回るとき使用する。

2) 防護の最適化 経済的、社会的要因の許す限り被爆を低く抑える。

3) 線量の制限  上記条件を満たしても、被爆量は線量当量限度を超えない。

 

放射線業務従事者の線量当量限度は、50mSvと定められている。

 

7.被爆管理

個人の被爆量が線量当量限度を超えないことを、実証するために、

1)作業環境モニタリング

2)放射線測定器(携帯型)による個人被爆線量管理

3)臨床検査による健康診断

 が用いられる。